部屋の窓を開けると、冷たく爽やかな風にのって金木犀のいい香りが漂う。季節はめっきり秋らしくなった。まさしく清秋だ。今年ももう10月、あと3か月、過ぎ行く時の速さに驚くばかりだ。
古くからの友人と全く連絡が取れなくなってしまった。2年ほど前からだ。電話にはでない、ラインも既読にならない。彼の職場に連絡したところ、定年退職目前の1年前に早期退職し、もう職場でも連絡がつかないとのこと。
高校生の時からの付き合いで、その後も連絡を取りあっていたし、数年に一度だが、二人で飲みにも行っていた。私にとっては特別な仲だと思っていた。
2年前、高校の同窓会の開催通知が届いた。5年ぶりだ。還暦を迎えたので皆でお祝いしようという趣旨であった。この時、この友人に「一緒に出席しよう」とラインを送ったが、何回送っても既読にならなかった。
何があったんだろうか。自宅まで行って確認したいとも思ったが、多分、私に連絡したくない何かがあったのだろうし、無理に会ったとしても、きっと、彼の気持ちを害することになるのでは、と思って戸惑ってしまう。
きっと、彼にとって何か大変なことがあったに違いない。
私にとって彼は数少ない友人の一人である。とても心配で落ち着かない。
最後に彼と会ったのは確か5年ほど前だ。地方公務員であった彼は出先機関の長になっており、その酒席には私の妻も同席したが、彼の様子に特に変わったところは感じられなかったと妻も言っている。
私は昨年、長年勤めた職場を退職し、職場から斡旋された再雇用・再就職も断って、”無職の自由人”の道を選んだ。
そして、今は大学生になり、学び直しを始めて1年が過ぎる。
還暦を機に毎年200枚以上書いていた年賀状も止めた。職場の人間関係もなくなり、今は、地元、スポーツジム、絵画教室などの付き合い程度だ。あとは、学生時代の数少ない友人達とたまに会うくらいか。
そんな中、彼との関係が絶たれてしまうことは寂しい限りだ。
過去、彼との間には色んなことがあった。そのことについては、いつか、このブログに書いてみたいと思っている。
何れにしても、彼が元気で暮らしていることを静かに祈るしかない、そして、彼からの連絡をじっと待つしか方法はない、と今は思っている。
道端の花