中学校のクラス会に出席した
前回の開催は2015年だったから9年ぶりだ
地元に住んでいる何人かの同窓生は随時集まっているらしい
今回は、そんな彼らが幹事となって
電話で連絡のついた人だけ誘ってミニクラス会にしたという
だから、今回集まったのは12人だけ
僕の初恋のあの人も参加するという
だから、ワクワク、ドキドキしていた
10代の実らなかったファーストラブとセカンドラブ(相手は同じ)
彼女とは30年以上前のクラス会で会ったきり
あのときは、幸せな家庭を築かれている様子だった彼女
幾つになっても青春の記憶は甘酸っぱくキラキラしている
とても懐かしく、儚く、胸がキュンと熱くなる
僕は、自家用車で会場(地元ホテル)に向かった
会解散後の行動を考えると、今回はやっぱり禁酒だ
ホテルに着くと、玄関先の喫煙所で数名の同窓生が煙草を吸っている
H君、M君、K君だ、みんな随分老けた印象だ
足を止め彼らと立ち話をしながらガラス窓越しにホテルのロビーを覗くと
こちらを見つめている懐かしい顔と目が合った
彼女だ
急いでロビーに入っていくと
ソファーに座っている4人の女性が一斉に僕に微笑む
僕は満面の笑顔で、「○○、久しぶり、元気だった?」とまずは初恋の彼女に挨拶する
彼女は「うん、久しぶりだね、元気そうだね」と微笑んで答えてくれる
H美ちゃん、R子ちゃん、K子ちゃん
一人一人顔を見て名前を呼んでみる
大丈夫、みんな顔と名前が一致する
うん、うん、あの頃の面影が残っている
だけど、時の流れは残酷だ
みんな64歳という年齢は隠せない
きっと、彼女たちも同様に僕のことを見ているに違いないけど
開宴後、順番に近況報告
「生きてるだけで丸儲け。僕は60歳で職場を定年退職し、還暦大学生になった。何とか今年卒業できそうなので、別の大学に入ろうか、大学院にいってみようか迷っている。普段は、水彩画教室に通ったり、ピアノを弾いたり、毎週末にはスポーツジムで汗を流したり好きなことをやらせてもらっている。今、ジムではズンバという南米系のダンスにはまっている。昭和のディスコみたいで、ミラーボールの下で思いっきり弾けている。近頃、急に涙もろくなった。今日はみんなの話を聞かせてもらっていっぱい泣いて帰りたいと思っている。よろしく。」
僕の近況報告はこんな感じ
だけど、悲しいかな、初恋の彼女の近況報告の内容を全く覚えていない
それは、報告をしている彼女の視線が気になって頭が真白になってしまったから
僕はその誘いを振り切って
彼女、彼女の親友であるH美ちゃん、それからK子ちゃんと一緒に
車で20分ほどの場所にあるH美ちゃんの馴染みの喫茶店(レストラン?)で珈琲とケーキで昔話に花を咲かせた
驚いたのは、僕と彼女が交際(のようなもの)をしていた10代のあの頃のこと
僕よりも彼女の方が些細なことまで多くの出来事を記憶してくれていたということ
誕生日プレゼント(名前入りの手作りクッション)を僕に渡してくれたときのこと
初めての都内デートで二人で映画を観たときのこと
初めて僕の部屋に訪れたときのこと
僕の母親のこと 等々
そんなこともあったっけと、嬉しくて頬がゆるゆるだ
この喫茶店で彼女が僕に向かって放った決して忘れられない言葉
それは
「10代のあの頃、□□君(僕)は手も握らなかったよね」
「うちの夫はいろんなこと、一人でやるのが好きな人だから」
「□□君(僕)が△△(出先機関)に異動になったことを新聞で知って、△△に行ってみたことがあるの。もし、在席していたらお昼でも一緒にどうかと思って。でも、残念ながら不在だった。」 ~15年ほど前、僕は彼女の住む地域にある出先機関に2年間勤務していたことがある~
64歳になった彼女
あのころのイメージは変わらない、昔のままだ
今でもキラキラ眩しくて綺麗でいてくれた君に感謝
僕にとっての胸キュン、大切な想い出
とても幸せそうに暮らしている様子の彼女とLINEを交換し
来年のクラス会での再会を約束して別れた
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